WordPressのマルチサイトから個別にサイトを分離して移行する方法

WordPressのマルチサイト機能でこんなお悩みございませんか?

  • 1つのサイトがアクセスを集めてしまい、そのサイトだけ別のサーバーに移動して運用したい
  • 1つのサイトがブランドとして確立してきたので、別のサイトとして運用したい
  • 何らかの理由で、サイトを分離したい

クライアントからのこうした悩み相談に対し、以前は技術的にも複雑な作業だったため「マルチサイトなのでそういうことが難しいんですよ」と説明をしていましたが、現在ではプラグインで簡単に実現ができるようになったのです!

今回はこの「マルチサイトから1つのサイトを切り出して、別のサーバーに移設する」方法について、解説をしていきます。

ちなみにこうした相談はいままでに15件程度いただいたことがあり、実際に仕事として請け負ったのは6件程度となります。

補足

なお、今回ご紹介するプラグインはマルチサイト対応のために有料の追加アドオン(199ドル)を必須としますので、無料で全て解決をしたい…という方にはオススメ出来ません。

ただ、上記の作業を出来るプラグインは有料・無料を問わず例を見ないので、ご覧になるだけでも一考の価値があると思います。

では早速移設の方法についてステップ式で解説していきたいと思います。

STEP1. プラグインをインストール

今回利用するプラグインはAll in one WP Migrationプラグインです。

All in one WP Migration

こちらのプラグインを、管理画面の「プラグイン」の新規追加から検索して、インストール・有効化して下さい。

このプラグインは通常、単一のWordPress(シングルサイト)向けの機能を提供してくれるのですが、有料のアドオン「Multisite Extension」を購入して導入することで、マルチサイト向けに利用出来るようになります。

199ドルという価格は、一般的なプラグインの価格としては非常に高価なのですが、これから紹介する機能をご覧いただければ、相応の価格であることが理解頂けると思いますので、まずはこのプラグインの実力をご覧になってください。

STEP2. マルチサイト用アドオンの購入とインストール

有料アドオン「Muitisite Extension」は下記のURLから購入が可能です。

こちらのページから「今すぐ購入$199」というボタンをクリックすると、ページ下部に支払い方法の選択が表示されます。

購入方法を選択

こちらから任意の支払い方法を選び、購入手続きを完了させましょう。

購入手続きが完了すると、販売元のServMaskからメールが届きます。

メールの内容

メールの文中にアドオンのダウンロードリンクが表示されていますので、こちらをクリックしてアドオンをダウンロードして下さい。

ダウンロードしたアドオンは手動でインストールする必要がありますので、WordPressの管理画面「プラグイン」の新規追加ページから、手動インストールを行うか、FTPで解凍したアーカイブをアップロードするなどし、有効化しましょう。

STEP3. マルチサイトから個別に分離させたいサイトをエクスポートする

All in one WP Migrationと、有料アドオン「Mutisite Extension」を有効化したら、いよいよ分離させたいサイトをエクスポートします。

サイトネットワークの管理メニューに追加された All in one WP Migration のメニューをクリックし、エクスポート画面を開きましょう。

プラグインのエクスポート画面を開く

この画面では、現在マルチサイトに登録されている全てのサイトが一覧で表示されます。

最初は「Network (all sites)」にチェックが入っているので、このままだと全てのサイトがエクスポートされてしまいます。

エクスポートしたいサイトだけにチェックを入れましょう。

対象のサイトにだけチェックを入れる

チェックを入れたら、次にエクスポート先をクリックし、表示されたメニューから「ファイル」をクリックしましょう。

これだけで、チェックされたサイトのデータが全てアーカイブとしてエクスポートされました。

完了画面のポップアップからダウンロードボタンをクリックし、サイトのデータのをダウンロードしましょう。

STEP4. 移行先のWordPressを準備する

次に移行先のWordPressを準備しましょう。

ここでは新規インストールしたWordPressを利用しますので、移行先のサーバーにWordPressをまっさらな状態でインストールして下さい。

サイト名や管理者のユーザーアカウントなどは、適当で構いません。
なぜかというと、サイトのデータを復元した時点で、全て元のサイトと同一になるよう復元されるからです。

こちらのサイトにも、All in one WP Migrationのプラグインをインストールして有効化します。

All in one WP Migrationをインストールしよう

なお、こちらのサイトはマルチサイトではありませんので、有料アドオン「Multisite Extension」の導入は必要ありません。

STEP5. 移行先のWordPressにサイトのデータを復元する

移行先の準備が整いましたので、いよいよサイトデータを復元していきます。

移行先のWordPressにログインし、管理画面のメニューから「All in one WP Migration」を開き、メニューから「インポート」をクリックします。

01. データのインポート

サイトのインポート画面が開きますので、こちらの画面にSTEP.3でダウンロードした.wppress形式のファイルをドラッグアンドドロップするか、インポート元ボタンをクリックして、当該のファイルを選択して下さい。

ファイルのアップロードが完了すると、警告画面が表示されます。

02. 警告画面

英語で記載されていますが、要は「サイトのデータやテーマ、プラグインを上書きするけど大丈夫?」という趣旨の内容なので、迷わず「PROCEED」ボタンをクリックしましょう。

無事にインポートが完了すると、下記のような完了画面が表示されます。

03. インポート完了

「CLOSE」ボタンをクリックしてポップアップを閉じた後、サイトを確認してみて下さい。

切り出したウェブサイトが、そのまま動作しているハズです。

補足

リンクが動作しなかったら…

もし、サイト内のリンクが全部404になってしまったり、正しいリンク先に遷移できない場合、各サイト毎のパーマリンク構造が正しく復元出来ていない可能性があります。(.htaccessが復元出来ていない、等)

その場合には、サイト毎に「設定」「パーマリンク構造」の画面を開いて、特に何もせず「保存」ボタンをクリックして.htaccessを更新してみてください。

おわりに

以上の手順で、マルチサイトから1つのサイトだけを切り出すことが出来ました。

いかがだったでしょうか?
私としては199ドルの価値は十二分にあるかと思います。

多分、制作会社に同様のことを依頼した場合、少なくとも3〜4倍の金額はかかるでしょう。
僕らももし手動で同様のことをやれ、といわれたら少なくとも10万円以上は見積もると思います。

またこのプラグイン、今回ご紹介した方法以外にも多々活用方法があるため、下記の記事なども是非参考にしてみて下さい。

この記事を書いた人

家富正幸

インスパイアデザインの取締役兼、エンジニア。WordPressのテーマ・プラグイン開発を年間100件以上、独自のフレームワークを用いて開発をしています。